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7話 冒険者の性、ギルドへの寄り道とミリアの困惑

작가: みみっく
last update 최신 업데이트: 2025-12-25 11:43:41

 ミリアが頬を膨らませてそっぽを向いたので、ユウヤは宥めるように彼女に近付き、その柔らかい頬をぷにっ♡ぷにっ♡と指で突いた。指先に伝わる弾力と温もりに癒やされているうちに、騒いでいた元貴族たちは、精鋭たちによって引き立てられ、全員連れて行かれていた。

「ふぅ~……気疲れした……」

 ユウヤは、緊張の糸が切れたように、元々座っていた椅子にドカッと腰掛けた。すると、少し機嫌が直ったミリアが、顔を林檎のように赤らめながら、甘えるようにユウヤの膝の上に座ってきた。ユウヤは無意識のうちに、そのまま彼女の頬をぷにぷにと触り続けていた。

 そんな甘い空気が流れていた時、閉まっていた大扉が勢いよく開いた。そこから二人のお姫様たちが入ってきて、厳格なはずの王の謁見の間には似つかわしくない、鈴を転がすような可愛い声が鳴り響いた。

「遅いですわっ!」

「お兄ちゃん、おっそ~い!」

 シャルロッテとミリシスが、ミリアに負けないくらいに頬を膨らませ、露骨な不満を全身で表現しながら入ってきた。二人のあまりに自由な振る舞いに、国王は心臓が止まりそうなほど慌てふためき、声を荒らげて注意をした。

「こ、これ! ここは謁見の間であるぞ! 控えなさい!」

 しかし、二人の少女にとって、国王の叱責よりも「大好きな人を待たされた」ことへの不満の方が、遥かに大きかったようだ。

「ちゃんと兵士の人に聞いたもんっ」

 シャルロッテは、腰に手を当てて胸を張り、国王の注意をどこ吹く風と受け流した。

「はい。ちゃんと確認をいたしましたわ」

 ミリシスも、優雅な所作ながらも、その瞳には「お兄ちゃんを独り占めされては困る」という意志の強さが宿っている。

「先程……皇帝陛下がいらしたんだぞ……まったく……」

 国王は、今にも倒れそうなほど疲弊した顔で、震える指を扉の方へと向けた。その言葉を聞いた瞬間、それまで勢いのあった二人の動きがぴたりと止まった。

「あらら……お姉様のお父様が……」

 珍しくシャルの顔色がみるみるうちに悪くなった。いつもは物怖じしない彼女が、まるで天敵を前にした小動物のように肩を震わせている。シャルでも、あんな顔になるのか。

 ユウヤは、膝の上で幸せそうに身を委ねているミリアを見下ろした。そういえばシャルもミリアとは長い付き合いなんだから、ミリアのお父さん――あの「おっちゃん」とも付き合いが長いんじゃないのか?

 シャルロッテは、額に浮かぶ汗を拭いもせず、落ち着かない様子で周囲を見渡した。

「お、お会いしなくて済みましたの……? あのお方は、わたくしを見るたびに『シャルロッテ、少しは落ち着きを覚えろ』と、雷のような声でおっしゃるのですもの……。生きた心地がいたしませんわ」

 どうやら、自由奔放なシャルロッテにとって、あの圧倒的な威厳の塊である皇帝は、最も苦手な相手であるようだった。

 シャルはまだ少し離れた場所で落ち着かない様子を見せていたので、ユウヤは膝の上で心地よさそうに目を細めているミリアに、そっと疑問をぶつけてみた。

「シャルって、ミリアと付き合いが長いんだよね?」

「長いですわ。本当の妹のように思っていますし、大切な家族ですもの」

 ミリアは愛おしそうに答え、ユウヤの胸元にトロンとした表情で頭を預けた。

「だったら、シャルもミリアのお父さん――皇帝陛下とも付き合いが長いんじゃないの?」

「いえ……わざわざお父様が送り迎えをしていた訳ではありませんし、お忙しい身ですから。わたくしの顔を見に来るのも、月に一度程度でしたわ。それ以外でお父様がここへいらっしゃるのは、このファンベル王国に何らかの問題や不祥事があった時だけですの。ですから、シャルにはその印象が強いのだと思いますわ」

 ミリアは、ユウヤが抱いた疑問の意味を正確に理解し、なぜシャルの顔色がこれほどまでに悪いのかを丁寧に説明してくれた。

 なるほど……。皇帝が来るだけでも十分に恐いと感じるしな。本来なら一国の主である国王ですら、平伏して震えるほどの存在なのだ。そんな人物が、この国に「問題」がある時にだけ現れるとなれば、その場に漂う空気は地獄のような緊張感に包まれるはずだ。

 周囲の者たちが石像のように固まり、空気が凍りつく中、あの雷鳴のような声が響き渡る……。そんな光景を何度も見ていれば、自由奔放なシャルがトラウマを植え付けられたとしても無理はない。

 ユウヤは、青白い顔で立ち尽くすシャルロッテを眺めながら、「あのおっちゃん、やっぱり普通じゃないんだな」と、今更ながらにその存在の巨大さを思い知るのだった。

 ひとまず問題も解決したので、皆は帰宅することにした。だが、俺はふと、冒険者ギルドにどんな依頼が出ているのかが気になり、別行動でギルドへ寄ることにした。

「ごめん! ちょっとギルドへ寄ってから帰るよ」

 ユウヤがそう告げると、ミリアは不思議そうに長い睫毛を揺らし、小首を傾げてこちらを見つめた。

「え? もう冒険者でもありませんのに、ギルドへ行かれるのですか?」

「なにか、面白い依頼が出てないか確認しに行くだけだよ」

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